紅蓮華 (1993) : Gurenbana

昭和から平成へ、ひとりの女が時代に翻弄されながらも理想の愛を追い求めて逞しく生きていった姿を描く女性映画。田中うめのの原作『梅一輪』をもとに、「出張」などの監督・沖島勲と佐伯俊道が脚色、ピンク映画界の大御所・渡辺護が「冷血」(84)以来二作目となる一般映画として監督した。出演:秋吉久美子、役所広司、武田久美子、小倉一郎ほか。

紅蓮華 (1993)のあらすじ

昭和三二年冬、沖井さくら(秋吉久美子)はいとこの中田健造(役所広司)に求婚した。戦時中、軍人との不幸な結婚をしたが夫は戦死、戦後の動乱をどうにか生き抜き、成長した息子・志郎も高校受験の年頃になった今、改めて理想の結婚を求めていた。だが、いとこだったら子供を作らずに愛情ある生活ができると考えたさくらに対し、健造は愛人・洋子(武田久美子)との関係を捨て切れずにいた。新婚早々さくらは結核で倒れるが、それをきっかけに洋子が二人の新婚家庭に闖入してくる。耐え切れなくなったさくらは、健造の弟で言語障害をもつ勇造(倉崎青児)と洋子との結婚を持ちかけるが、健造は彼らの結婚後も洋子との関係を続けた。だがやがて勇造と洋子の間に子供が生まれ、ようやく愛人関係は終わるが、相変わらず健造はさくらに指一本触れようとしないまま十七年の月日が過ぎていく。そんな時、健造の心のよりどころだった母・よしのが死ぬ。自暴自棄になった健造はさくらへの愛に目覚めながらも、自らの死を選んだ。そして昭和が終わり、さくらの母も亡くなった今、さくらは改めて夫・健造のことや自分の生きてきた人生を振り返るのだった。

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